配管劣化診断はもっと状態が悪い場合を想定する
マンション等の給水管をファイバースコープ等によって配管内の状況を撮影を行い。 錆こぶが多少確認できた程度と考えては危険です。
ほとんどの配管劣化調査は、すべての配管継手を確認せず、相当の数ある中の数箇所を無作為に調査してるにすぎず、 今回調査した箇所が一番劣悪な状態とは限りません。
従いまして、安全率を考慮に入れて結論を導く必要があります。
見た目の錆の大きさに捕らわれず、配管のねじ部の劣化状況を想定把握する事が重要です。また、まだ漏れないから大丈夫では、問題が大きくなります。
水が漏れるという事は、配管肉厚がゼロになった事を意味し、そうなる十分前の時点で対策が必要となります。
配管替えで対応がすぐに出来るのであれば、漏水してからの対応で宜しいかと思いますが、管更生工事(配管ライニング)を行う予定の場合は、 既存配管が、配管ライニングに耐えれる配管状態を維持している必要があります。
劣化がどんどん進めば、ウオーターハンマーやちょっとした地震で漏水事故が起きやすくなることも考えられます。特に加圧ポンプ使用の場合は 、注意が必要な場合があります。


室内の蛇口を外して配管内を覗いたところ、場所によってはほとんど錆で閉塞されて、水道水の流れが悪い事がわかります。
この状態でも、お部屋の方は、水の出が悪いような気がしたが、赤水が出ていると思っていなかった(綺麗な水のままと思っていた)とのことです。
給水管が塩ビライニング鋼管の場合は、配管末端のネジ部分の接続処理の仕方によっては、著しい劣化を選択的に局所に集中したような感じとなります。
継手の数の倍の箇所が相当数問題を抱えている状況となっている事を認識して頂ければと思います。

左の写真は、同じマンションのサンプリング配管の状態です。
ねじ先端部の金属が腐食によって強度が無くなり失われた状態です。
マンション内の全ての配管のいくつかは同じ状況の配管があると考えた方がよろしいかと思います。
配管の接続は、ねじ部の3分の2位の長さで耐圧に耐えており、ねじ部全体で水密性を保っている訳ではありません。
この写真のような劣化が時間経過と共に悪くなっていけば、漏水事故が近い将来出てきてもおかしくないかと思います。
普段の生活では配管の外側しか見れませんが、腐食は配管の内面で静かに進行しておりますので、配管老朽度調査を行わない限り、どのような状態に現在陥っているかは認識できません。
まずは、調査の実施と、調査の結果と実際を幾度と無く確認する調査業者に診断してもらう事をお薦め致します。
●78戸のマンションには、給水管だけで約2900個程度の継手が存在します。
継手には2箇所もしくは3箇所のネジ接続部があります。5800箇所のネジ部の劣化箇所が存在することになります。
給水管に違和感を感じた際には、早目に調査を実施し、現状把握のきっかけにする事をお薦め致します。